おっと、悪いな。
 なんだよ、謝っただろう。
 前方不注意でぶつかっただけだ。
 手を放せ、俺は男と長話をする趣味はない。
 こんな人通りの多い道で立ち止まったら、通行人に迷惑だろうが。
 放せって言っているだろう、聞こえないのか?
 ……くどい。話などないと言っただろう。
 ひょっとして、物盗りか? ……まさかな。
 白昼堂々話しかける物盗りなんて聞いたことがない。
 ……俺に用がある? ちっ、知ったことかよ。
 あんまりしつこいと、骨の欠片も残らず焼き尽くすぞ。
 ……あ?
 ふん、誰かと思えばあんたか。
 うまいこと化けたもんだな。気づかなかったよ。
 鼻持ちならない口の利き方、少しはましになってるじゃないか。
 声まで変えやがってよ、ご丁寧なことで。
 でも、雰囲気というか気配というか、そういえば昔のままだな。
 会えて嬉しい、とはとても言えないが、懐かしい、くらいの感慨は言ってやるよ。
 それにしても、まだこんな所をうろついていたのか。
 よほど暇なんだな。ま、俺も他人のことは言えないがね。
 そんなに未練があるのかよ。ったく、わかんねぇやつだ。
 これ以上関わって、いったい何をする気だよ。


 そういえば、最近こんな噂を聞いたんだ。
 フリージ城の近辺を怪しい輩が嗅ぎ回っている、ってな。
 あんたのことか?
 ……そうか。いや、薄々そうじゃないかとは思ってたんだ。
 目撃者によると、風みたいに掴みどころのない奴だったそうだからさ。
 何を企んでいるのか知らないが、あそこに侵入しようとするのはやめたほうが賢明だぞ。
 フリージは今、六公爵家の中でもヴェルトマーに次ぐ力を持っている。
 何しろイシュタル皇妃の実家だ。警備には蟻の這い出る隙間すらない。
 あんな所に何の用だ。
 ……ティニーに会う、だと?
 へぇ、あいつは今やフリージの女当主だぞ。
 一般人にしか見えないあんたが、易々と会える相手じゃないさ。
 知っているとは思うが、現在公爵家は実質半分しかない。
 ヴェルトマー・フリージ・ドズル家の三家だ。他は家名だけ残してお取り潰し。
 とは言っても、ドズルはセリス皇子のイザーク挙兵を潰せず、血族の中から裏切り者を出したって汚点があるから、権力は弱い。
 つまり、皇帝・皇妃の実家がグランベルや他の国々を統治しているってことになる。
 権力の増した今のフリージに、あんたが入り込むのはほぼ不可能だろうな。
 それでも、会いに行くのか?
 ……ふん、やっぱりな。今更復讐かよ。
 とぼけんな、裏切り者を殺しに来たんだろう。
 だったら俺を殺せ。拷問でも何でも、気の済むように痛めつければいいさ。
 但し、妹には一切手を出すな。あんたの怒りは俺にだけぶつけてくれ。
 もしティニーに指の一本でも触れてみろ。
 たとえ死んだ後だって、冥府から甦ってあんたを八つ裂きにしてやる。
 …………。
 本当か?
 殺す気はないのか、そうか……いや、あんたを信用するわけじゃない。
 たとえ妹に危害を加える気が全く無いとしても、会わせるわけにはいかないんだ。
 さっき言ったとおり、ティニーはフリージ当主の座についている。
 こう言えば聞こえはいいが、実際はフリージ領の政事を全て引き受けている状態だ。
 なにしろ、人材がないんでね。
 最近は少し落ち着いてきているようだが、それでもいつも目が回るほど忙しい。
 妹に重責を負わせている俺が言うのも何だが、これ以上あいつの心労を増やしたくないからな。
 ん、俺か? 俺はティニーと違って気楽なもんさ。
 フリージの家督は妹が継いだ、かと言って別の役職に就いたわけでもない。
 ずっとシレジアで庶民暮らしだったからか、王侯貴族が苦手でね。
 だからこうして、トラキアの地を供も連れずに歩いている。
 何の為に、なんて野暮なことは聞くなよ。
 そのおかげで……いや、その所為であんたに会うとはね。
 はぁ、散策はするもんじゃないな。
 俺としてはさっさとおさらばしたいところだが、あんたのことだ。
 いくら無理と言っても、ティニーに会えるまでフリージの周りをうろつくんだろう?
 用件は何だ。俺で分かることなら答えるから、あんたとの縁はこれきりにしてくれ。
 答えられないことも、あるかもしれないけれどな。
 あぁ、それからな、俺は法螺ふきなんだ。
 真偽の判断は自分でしてくれよ。


 さてと、用件を聞く前に、これを飲んでみろ。
 ついそこの露店で買った酒だ。なかなか美味いだろう。
 本当はもっと熱くして飲んだ方がいいんだがな。
 ……ん? 
 別に。美味い酒は一人で飲むもんじゃない、だから勧めたのさ。
 毒でも入っていると思ったか?
 案外小心者だな。
 それとも、裏切り者の酒は飲めないってか。
 用件も、大方そのあたりのことだろう?
 あれからもう十年以上経つのに、今更探偵気取りで真相究明でもするのか?
 いや、逆に今だからこそ、真相を暴く意味があるのかもな。
 ユリウス皇帝の支配から逃れたがっている民衆にとっては、いい起爆剤だ。
 真相を活字にして出版でもしてしまえば、また打倒帝国の狼煙が上がるだろう。
 王位継承権を主張する輩はもういないから、名目はセリス皇子の仇討ちあたりか。
 今度は誰を担ぎ上げるつもりだよ。
 また世界を善悪に塗り分けて、自分達が正義だと声高に主張して、暗黒竜やロプト教を消滅させるまで戦をやめないつもりか?
 冗談じゃねぇ。
 あんた、いつまで俺たちを振り回せば気が済むんだよ。
 それに、あの時とは情勢も違う。叛乱なんて起こしたって、すぐ鎮圧されるさ。
 あの時は先帝アルヴィスがいた。先帝は息子であるユリウス皇帝とは反目し合っていたらしい。
 当然、権力は二分されて兵への統率力も弱まっていた。
 今はそんなこともない。もう邪魔をする先帝はいないし、何より皇妃イシュタルがいる。
 此処トラキアだって、あの皇妃のおかげで豊かになったんだ。
 あんた、結局その酒飲んでないな。飲まなきゃ分からないぞ。
 十年前と比べて、どっちが美味くなってるか、ってことがさ。
 まぁいい、この国の人々が活気づいている、これだけで充分だ。
 叛乱軍が行軍した時分とは、大違いだろう?
 あの時のトラキアは、酷い有り様だった。
 土地じゃない。此処に住む人が、だ。あんたも見ただろう?
 いや、もしかしたら、見えなかったのかもしれないな。
 あの時のあんたは、帝国領を目の前にして気もそぞろだった。
 暗黒神と化したユリウス皇帝を倒すことで、頭がいっぱいだったんじゃないか?
 まぁ、俺としては好都合だったがね。
 そのおかげで、準備の邪魔をされずにすんだ。
 え? 決まっているだろう。
 叛乱軍を壊滅させる準備さ。


 説明するまでもないだろう、あんたは何だってお見通しだしな。
 ……ふぅん、そうでもないのか。そこが昔とは違うところか?
 何処まで知ってる?
 ……まぁ、だいたい当たりだな。
 ティニーが、イシュタル皇妃の間諜だったこと。
 そして叛乱軍の情報を帝国側に漏洩していたこと。
 それから、ブルームやトラバントを叛乱軍に殺させたのは、フリージの実権をティニーに握らせアリオーンを子飼いにするための計画。
 すべて事実だ。
 ついでに言うと、セリス皇子がティルナノグへ送る手紙を着服したこともあったな。
 育ての親だか誰かに、今まで何があったか、これからどうするつもりか、何を考えているのかを明確に書いてあった。
 セリス皇子の行動や考え方の傾向を推測するのに、役立たせて貰ったよ。
 ご明察。大したもんだ、そこまで見抜くなんて。
 ん、あんたの考えじゃないのか?
 ……あぁ、あいつね。そうか、生きていたのか。
 さすが弓使いなだけあるな、目がいい。洞察力もある。
 ユングヴィ直系の名は、伊達じゃなかったんだな。
 そこまで知っているなら、用件ってのはなんだよ。
 人捜し? 誰を捜してるんだ?
 ……そいつか。そういや、マンフロイの爺さんに浚わせたっけ。
 は、なんだよ。そんな怖い声出してさ。俺なんかに出し抜かれて悔しいのか?
 確かに、あれはあんたにとって予想外の事態だっただろう。
 目的が近づいて、足元がお留守になってたようだな。
 まぁさっきも言ったように、俺としては好都合だった。
 なにしろ光竜の力を使いこなせるあいつは、ユリウス皇帝の天敵だ。
 そんな人物を、いつまでも叛乱軍に置いておくわけにはいかない。
 マンフロイをこっそり手引きして叛乱軍内に入れさせ、あいつを浚わせた。
 まぁ、あんたにとっちゃ打倒帝国の切り札か。
 大事なお姫様がいなくなってあんたも焦っただろうが、セリス皇子も明らかに動揺していた。
 早い話が、これは使えると思ったわけだ。
 叛乱軍を瓦解させるには、大将を討ち取れば一番手っ取り早いからな。
 手はず通り、イシュタル皇妃と話がしたいとティニーがセリスに進言した。
 何て言ってたっけな、あぁそうだ。
「イシュタル姉様と戦いたくありません、どうかお話しをさせてください。
 私が姉様を説得できれば、無益な戦いをしなくとも済みます」
 こんな感じだ。うまいこと言うもんだと思ったよ。
 案の定、セリスは食いついてきやがったさ。
 もし説得がうまくいって、イシュタル皇妃が加わってくれれば言うことなし。
 たとえ失敗したって、ティニーや俺を切り捨てるくらいどうってことないだろう。
 けどまぁ、そう考えたことが命取りになった。
 ユリウス皇帝にとっての切り札は、同時にセリスにも切り札になったわけだ。
 切り札ってより、弱味かな、この場合。
 セリスにとって、あの娘は切り捨てられない存在だったんだからな。
 あとは知っての通り、そいつの姿を見てセリス皇子は不用意に近づき、そして殺された。
 ユリウス皇帝に操られているとは、疑わなかったのか、それとも考える余裕がなかったのかは知らないけどよ。
 馬に乗ったまま一気に前線を突破して、俺達のすぐ後ろで止まった。
 セリスの目には、俺やティニーやイシュタル、それに少し離れたところでほくそ笑んでいるユリウスの姿なんか映ってなかったんだろう。
 ただひたすらあいつに向かって、「無事でよかった」とか言っていた気がするな。
 俺は振り向いたんだ。なんか、吃驚してな。
 セリスの声、今まで聞いたことがないほど明るかった。
 海の色をした目が滲んでてさ、泣きそうなのに、すごく嬉しそうな笑顔で。
 そういえば俺も、ティニーに会えた時フィーにからかわれたんだよ。
「あんたも泣いたり、笑ったりするのね。もっと冷たいやつだと思ってた」
 ってな。
 それと同じ感想を、俺はあの時のセリスに持った。
 セリスにとってのあいつは、俺にとってのティニーと同じような存在なのかもしれない。
 家族で、妹で、それよりもっと大事な……生きがい、みたいな存在。
 確信はないけれど、何となくぼんやり思ったんだ。
 でも、そんなくだらないことを考えている時間は、数秒にも満たなかったと思う。
 毒々しいほど真っ赤な光が、ぱっと射しこんだんだ。
 思わず目を閉じても、瞼の裏に赤い色がちらつくほどの光でさ。
 あれは確か、リザイアとかいう古代の遺物だったかな。
 相手をいっさい傷つけることなく生命力を奪う、禁呪レベルの光魔法だ。
 それを至近距離で撃たれたら、ひとたまりもない。万に一つも助からないさ。
 セリスはあっと言う間に身体中の生気を抜かれ、枯れ木のようになって息絶えた。
 きっと苦しむ間もなかったんだろう、悲鳴ひとつあがらなかった。
 あの魔道書、セリスがあいつに贈ったんだろう?
 ……皮肉なもんだな。


 そのあと、セリスが息絶えたのを確認して、俺とティニーは合図をした。
 叛乱軍の後ろと両翼に、暗黒魔道士たちを控えさせていたんだ。
 炎が空に二つ続けて上がったら、それが突撃の合図だった。
 ミレトス周辺の地形は覚えているか? 
 城の周りは海と高い山に遮られて、人が通れる道は山間の一部だけだ。
 シアルフィへの橋を上げ、道を封鎖してしまえば、あとは袋のネズミ。
 全滅は時間の問題だった。
 ユリウスは高笑いをあげ、嬉々として残党狩りを始めた。
 暗黒竜の力は、本当に圧倒的だな。
 すぐにあちこちから悲鳴や逃げ惑う足音が聞こえて、空は暗黒魔法で真っ黒に染まった。
 不思議なもんでさ、空は夜より暗いのに、死んでいく奴らの顔は昼よりはっきり見える。
 地獄……そうだな、そういった形容が相応しいかもしれない。
 イシュタル皇妃は震えるティニーの肩を抱いて、俺の方を見ながら言った。
「行動を共にした者達の死を見るのは忍びないでしょう、城内にお入りなさい」
 きっと、俺とティニーに気を遣ってくれたんだろう。
 ティニーは真っ青な顔をして、言われるがままにミレトス城へと入って行った。
 けれど、俺は入らなかった。
 行動を共にしたからこそ、見ておかなきゃならないと思ったんだ。
 イシュタルは少し悲しそうな顔をして、「好きになさい」と言ったっけ。
 後から思えば、あの時の行動は、自己満足以外の何でもなかったけれどな。


 あんまり覚えてないんだ、あの時のこと。
 別に、俺が誰かを手にかける必要はなかったよ。
 ユリウスの通ったあとに、生きている人間なんて殆どいなかった。
 地面は血の海になっていて、その中に……死体が浮いていた。
 かろうじて息があっても、助からないほどの傷を負っている奴らばかりだった。
 知っている顔も、たくさんあった。もう名前も思い出せないけれどな。
 靴に染みていく血が、なまあたたかいのに冷たくて、ぞっとしたよ。
 なんでだろうな、人を殺して血を浴びるなんて、別に初めてじゃないのにさ。
 ……あぁ、そうかもしれない。
 割り切ってはいても、顔を知っている奴らの死は、少なからずこたえたのかもな。
 じわじわと足元から這い上がる冷たさを感じながら、たぶん長いことぼんやりしていたんだと思う。
 どれくらい経ってからか、頭上で羽音が聞こえた。
 よく知っている、柔らかい天馬の翼が強く空を切る音だ。
 見上げると同時に、頭上から羽根がゆるやかな速度で降ってきた。
 真っ白な羽根に、点々と血の痕がついていたよ。
 天馬が着地すると、その背に乗っていたフィーが馬から降りた。
 いつもは軽やかに降りるのに、あの時は降りた瞬間膝が崩れて、暫く蹲っていたな。
 あいつの細っこい身体が真っ赤になっていて、若葉色の髪からは血がぽたぽた滴って、口からは呻き声が洩れていた。
 ひどい怪我じゃないか、と言いそうになって、口を噤んだことを覚えている。
 俺が心配するなんて、筋違いだからな。
 フィーは槍を杖にして起き上がると、俺を真っ直ぐ見据えて言った。
「どういうこと」
 フィーは天馬に乗って、上空から戦局を判断する役割をよく任されている。
 きっと、一部始終を見ていたんだと思った。
 答えないでいると、あいつは槍の穂先を俺に突きつけてきた。
 答えなければ、このまま刺すっていう意思表示だろう。
「おまえが思っているとおりだ」
 そう言った途端、フィーは顔色を変え、槍を両手で持ち直して叫んだ。
「裏切ったのね」
 俺は黙って頷いた。
 そしたら、フィーの目から涙がぽろぽろ落ちてきた。
 普段は強がってるけど、あいつ結構泣き虫なんだよな。
「どうして……どうしてセリス様を、みんなを、私を……裏切ったの?」
 泣きながら、あいつはそんなことを言ったな。
 俺には分からなかった。今でも、やっぱり分からない。
 ひどい怪我をして、立っているのもやっとの状態で、裏切り者の弁明を聞きたいものなのか?
 あるのは、俺がフィーたちを裏切った事実。それだけだ。
 だから言った。「理由なんて、どうでもいいじゃないか」って。
 その瞬間、フィーの顔が凍りついた。
 表情をなくすって、あんな感じを言うんだろうな。
 あいつは泣きながら何か叫んで、手にしていた槍を力まかせに振るった。
 槍は大きく弧を描き、俺の顔を薙いで、その勢いのまま俺は横に吹っ飛ばされた。
 これがその時の傷だ。目立つだろう?
 どういうわけか、これだけはいくら杖で治療しても消えやしない。
 だからあれっきり、この目は見えないままだ。
 今でも、この目を薙いだ槍の、銀色に輝く弧が瞼に焼きついている。
 フィーの、泣き叫ぶ顔と一緒にな。


 吹っ飛ばされたあと、俺は何処かに頭をぶつけて意識を失ってしまったらしい。
 気がついたら、ミレトス城の一室で寝かされていたよ。
 ……あぁ、勿論見たわけじゃないさ。
 ティニーが傍にいたから、教えて貰ったんだよ。
 あいつは俺の手を握って、言った。
「お兄様、終わりました。すべて」
 その震えた声を聞いただけで、俺は想像できた。
 ティニーが今、どんな表情をしているのか。
 ひとつ感覚を失うと、他の感覚が鋭敏になるって本当なんだな。
 妹の声や息づかいから、あいつがどんな気持ちでいるのかよく分かったんだ。
 俺が気を失っていた間、もしかしたらティニーは泣いていたのかもしれない。
 そう思ったら、いつの間にかあいつの手を握り返して、こう言っていた。
「終わってないよ、ティニー。まだ何も、始まってすらいない。
 解放軍のみんなを殺して終わりなんて、そんな馬鹿なことは絶対言っちゃいけない。
 多くの人間を殺し、たくさんの血を流したのは何の為だ。
 おまえが目指したものを見せてくれ。この見えない目にも届くように」
 握ったティニーの手が激しく震えたかと思うと、あいつは声をあげて泣いた。
 俺の肩に顔をくっつけて、背中にしがみついて、子どものように泣き喚いた。
 いや、子どもだったな、あの時は。
 思えばあの日を境に、ティニーは何があっても泣かなくなった。
 俺の前でなら泣いてもいいって言うんだけれど、いつも言い返されるんだ。
「泣くのは、いつでもできます。今しかできないことをするのです」
 ってね。
 嬉しいような、それでいて淋しいような気分になったよ。


 用件とは関係ないことを、延々と話して悪かったな、忘れてくれ。
 何せ、全部嘘だからな。
 言っただろう、俺は法螺ふきだって。
 ……ははっ、あんたもうまいこと言うな。
 確かに法螺ふきなら、「全部嘘」ってのも嘘になるな。
 まぁ、そんな法螺ふきが言うことを、信じる信じないはあんたの自由だ。
 よく聞けよ。
 あんたの捜しているやつは、バーハラ城以外の何処かに居る。
 分かったか?


 お節介焼きの、フォルセティさんよ。



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